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素晴らしかった 2

昨夜の感動が冷めやらぬ中、再び、録画した番組のCMをカットしながら、見直しました。「クリスマスの約束2009」の話題です。

STARDUST REVUEの根本さんが尋ねる。
 基本的にユニゾン(斉唱)であるのは解るのだけれども、小田さんに見えているその先のイメージが、解らない。

小田さんがそれに対しシンプルに答える
 リードボーカルの音圧を聴かせたい。
 それぞれの持ち歌のワンコーラスづつのメドレーがどれだけのものなのか。
 単なるメドレーや合唱大会にならないもの作り、この完成形は未知なもので、実際に声を出してやってみて、それには参加するみんなの気持ちの強さが必要。
 いつでも挫折が追いかけてくる企画。
 (実際にやってみて)つまらないなら辞めよう。

まず始めよう。イメージを持たせたら、これをもっとよいものにしていこう。この行程を消化していく。それぞれのパートを歌ってもらい、そして褒める。
歌の先生的に、丁寧に理解してもらえるまで、指導する。
きっと間違いなく誰よりも苦労していたと思うのだが、みんなで作っていくのが面白かったと一つの過程を消化していくことを楽しんでいる。

選曲された参加者の歌を仮に繋いだメロディーをみんなに聴かせて感想を聴いてみる。
 みんなで歌う感じが少ない。
 長く聴くのに耐えられるか。
 本当に全員で歌っていくと個性が消えてしまう。

 時には全員でなく三人でとかという部分もあっていいのでは。(小田さん)

 それぞれのソロの方がカッコいい。
 みんなで歌う意味が良く解らない。
 みんなで歌う意味が見えない。
 全部の歌を殺してしまう。
 一辺倒の棒になる。

 棒にならないと思う(小田さん)

 クオリティをあげるだけの物理的な時間が不足している。
 カッコよくないことはしたくない。

財津和夫さん、山本潤子さんという同世代、根本要さんという緩衝役の方、そして若者たち全体を束ね、練習に導く様子。実際の歌唱練習の様子は、小委員会よりも明るく見えました。もう本番前まで、2カ月をきっていました。

番組スタッフと小田さんの間では、未だにこのプランに対しての考え方にズレがありました。

 なんのために
 どうして
 気持ちが入らない

そんなもう8年もやってきて、ようやくミュージシャンを集めてきたにもかかわらず、それを見守ってきたスタッフに、疑問をぶつけられてしまった。

かなり傷ついたことでしょう。「見えない」、「勝算がない」、こう言われても、過去に誰一人ミュージシャンを集めることができずに、カバー曲をたった一人でこなしたこともあった。それでも、小田さんは番組にしてきた。ミュージシャンたちへのアプローチは、毎度、努力してやってきた。

スタッフの不安を安心させるものを見せろっていう意味の言葉が、暴力的にさえ感じられました。

言いたいことをぐっと飲み込んで、批判的な言葉を避けつつ、だけど、実績は残してきたし、一人で責任を負ってきた。

言いたいことはそんなことじゃないのだが、スタッフの追及に愕然としたのかも知れない。

スタッフが小田さんの飲み込んでいる言葉に、その気持ちを逆なでするように、続ける。
 小田さん勘違いされてますけれど、議論のしすぎでお前までそんなことを言うのかって、思ってませんか。


小田さんが、冷静に応対する。
 歌う方が纏まって、面白いものができそうだと考えて、スケジュールの合間を割いて練習をしているさなか、それをスタッフに想像できないという言葉で、否定される。
 みんなが見えてきて頑張ってきているところで、制作の人間がそこで見えないというのは本当は逆じゃないかと思うんだよな。

ここでまた言葉を飲み込む。こっから何が見えるんですかって上から観て言って来ていることへの憤り。

 言葉にしたくないことが、とっても多い。
 俺にも確信がある訳じゃないのだけれども、言葉にするもんじゃないところのもので、何かを越えて行こうとしている企画だと思うんだよ。

この言葉の本質が、最期に解る。飲んだんじゃないんだ。言葉にできないほど感動がおきることをしているんだ。それ自体を言葉で表現するのは無理だし、言葉にすると中身がこぼれてしまうんだ。

小田さんが、ミュージシャンたちをリードしつつ、制作スタッフたちにただ一人話しておられた様子が、痛々しかった。
だけど、一人一人のオリジナルの歌をつなぎ合わせたこの楽曲に参加するミュージシャンたちに、それぞれの譜面に対する指導、そして激励をを行う、プロデューサーの苦労が見られて良かった。

クインシー・ジョーンズやマイケルたちもみんなこんな苦労をしてきたんだな。改めて感心しました。

また、最期に小田さんも回顧されていましたが、みんなにスケジュールを割いてこんなことをやらせていいのかなって思っていたら、嫌な顔をせずに、「難しい~」って、楽しそうに取り組んでくれていた。
本番前日の壮行会の中、小田さんが語る。
「最初に台本がなかったのに、最期にはみんなそれぞれに物語が見えてきたんだ。」
言葉にできないものの想像は、それを遥かに越える本番に繋がっていくのだった。

メドレー出だしの藤井フミヤさんからいきものがかりの聖恵さんの歌唱まで、全ての歌の魅力、個性を引出し、世代を関係なく、誰もが口ずさめる歌でした。終わった後のハイタッチの中、小田さんが目頭をおさえていたのを観て、全てが報われたように感じました。

終わらない拍手の中、小田さんが「言葉を失います。驚いたね。」
本当にこの言葉がすべてだと思います。

「みんなが寄ってたかって僕のことをいじめましたが、やって良かったと思います。言葉にすると、そこから落ちて行ってしまうような気がするので、言葉にはしないでおきたい。」

根本さんの進行の中、参加してくださった方たちのメッセージが、また素敵でした。

この試みに参加してくださった全てのミュージシャンの方々のお陰で、本当に素晴らしいものを見せていただきました。

ある方が、紅白歌合戦が長すぎるとおっしゃっていました。私もそう思います。どんな長さでも、たとえその年のヒット曲でなくても、みんなの記憶に残る歌を並べたこのメドレーが、本当に素晴らしかったと思いました。単なる持ち歌の発表会的に並べて歌うのではなく、それをコーラスアレンジして、ハーモニーにプロらしさを出して、個性も生かしつつ、それぞれが何度も練習して予習や復習もされて、本番に向かわれた。そして、それを生の本番で、観客を前に披露した。このことに価値があるのだと思いました。

歌の力、ボーカリストのパワーと、観客や観ている側全ての思いとが相乗効果にように奏でられ、その熱い思いが伝わってきたのです。
素晴らしい音楽会、そしてドキュメンタリーでした。

by sumomojam39 | 2009-12-27 01:11 | テレビネタ