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白い巨塔、田宮編

田宮二郎バージョンの白い巨塔が気になりました。
最終回、財前が二審判決において、一審を覆され2700万円の支払いを命じられます。
そのあと、記者たちに、国立大学の教授であるから一般医師の水準を越えて責任を取るべき、という1点をとってもこの判決には承服しかねると、最高裁への上告を宣言します。そのあと里見が法廷に再び入ってくる訳ですが、財前は悶絶して倒れます。里見が駆け寄り、瞼の裏を確認します。そして、直ちに胃カメラを取るべきだと言いますが、財前は「必要ない、キミの指図は受けん」と言って失神します。

検査の結果、胃がんが直径5センチとかなり進展していることが判明しますが、鵜飼達の話し合いで、金井から財前には潰瘍であるが、直ちに入院そして手術をすると説明させます。
レントゲン写真を見て初期なのにと疑う財前は、里見のもとへ向かい里見に診断を仰ぎます。胃カメラをした里見は、財前に「かなり荒れているので、指示通り直ちにするとよい」と促します。財前は里見に「ついでに細胞診をしてくれ」と頼むが、里見はかなり出血していることを理由に、細胞診はしないで入院手術をするように勧めます。

里見の説明に納得した財前は、手術を決意しますが、そこで今津や金井の執刀ではなく東の執刀を望みます。でも、裁判などのことから、無理だろうなと考えていると、里見から「キミが頼みにくかったら、ボクから頼んであげるよ。東教授に執刀してもらいたまえ」と言われ、思わぬ申出に喜びながら「じゃあ頼むよ。オペの時はキミも立ち会ってくれるだろうね」(財前)、「もちろんだよ」(里見)。これが二人の関係でした。

オペが始まります。引退し他院へ移られた東教授が浪速大学で執刀するのは異例のことでしょう。財前は「東先生、宜しくお願いします」と頼むと、薄れいく意識の中で開始時間を確認します。10時4分、確認後麻酔をかけられ、開始して間もなく、ハッとした東の口から「肝転移がある。手遅れだ。」と言われ、「このまま縫合します。」と告げられる。
立ち会っていた里見から、思わず「財前君」と苦悶の呼びかけがされる中、直ちに縫合された。同じく立ち会っていた鵜飼は、金井に財前に見せるための胃の標本の準備、そして姑に財前の病状を告げることを支持する。
そして、手術をそうそうに終えた東が振り返りながら「金井君、時計」と声をかけると、まだ20分しか経過していない時計を約1時間進めるのだった。
みんなが立ち去った後、手術室で「先生!」佃が声をかけると、財前はすぐさま時計を見た。
財前:「1時間と10分か」

術後、病室に戻った財前は、金井に摘出した胃を確認させてくれと依頼し、佃と安西が胃の標本を持参します。妻は逃げ出し、姑も娘を捜しにと退出した後、財前は激しい吐き気をもよおします。嘔吐後、洗面台の鏡で自分の顔の黄疸を見た財前は、全てを察します。術後の身体で、ナースステーションに飛び込んだ財前は、自分のカルテを探し出すことができず、翌日里見を呼び出します。

里見:「僕に話があったんじゃないのか。」
財前:「里見君、キミはボクに隠しているね。」
里見:「病状のことかい。それならないよ。」
財前:「この顔を見てくれ、こんなに黄疸がでてる。この原因はなんだ。キミの診断を訊きたい」
里見:「肝炎が原因だと思う。」
財前:「いや、訊くのはよそう。訊いてもキミは本当のことは言ってくれないだろう。ボクはボクなりに診断をつけているよ。」
里見:「はあ。どんな診断だ。」
財前:「切除不能の胃癌だ。そうだろう里見君。」
里見:「キミはX線写真も切除胃の標本も、昨日はカルテまで見たそうじゃないか。制癌剤は使っていなかっただろう。」
財前:「あれはみんな偽もんだよ。本物はボクの目に触れないところに隠してある。ボクには解っている。」「里見君、胃癌だろ。胃癌だと言ってくれ。」
否定して首を横に振る里見。
財前:「ボクは医師だ。しかも癌の専門医だ。」「そのボクが自分の病状の…」悔しさに涙をこぼしながら「自分の病状の真実を知らないでいるのは…」「余りにも酷だ」
里見:(堪らずその場から立ち去ろうと)「財前君、また明日来るよ。」
財前:「待ってくれ。」里見に握手を求め、布団から手を伸ばし差し出す。
里見:「どうしたんだ。」財前の手を握り締め
財前:「里見君、ボクはキミに負けたよ。こうやって死と対面することになって、はじめて医師というものがどういうものであるか、どうあるべきか、それがはっきりと解った。」
里見:「キミは立派な外科医じゃないか。」
財前:「ボクはキミのような本当の医師を友達に持って誇りに思っている。」
里見:「有難う。キミとボクは同じ教室で勉強した友達じゃないか。」
財前:「有難う。しかし、気がつくのが遅かった。せめてもう一度…」(もうここからは言葉になりません。ただ、握りしめた里見の手と財前の溢れ出る涙で語っています。)

里見はこのあと、無医村に行く決意をした柳原に逢いに行きます。
それは余命いくばくもない財前を見舞ってやって欲しいと頼み込むためでした。
財前の気持ちだけでも楽にしてやって欲しいと。
しかし、柳原は裁判で偽証したことを悔やんでおり、財前への対面を断ります。偽証した自分が許せないから、財前に対面することができない。と。

そして里見に財前の死が間もなく訪れることを知らされた愛人の花森ケイコが、岡山にいた財前の実母を病院に連れてきます。
ケイコ:「お母さん、見舞ってあげてください。私、前の喫茶店におりますから。」
財前母:「ケイコさん。」「逢うのはやめにします。」「五郎は癌にかかっていることは知らんのですやろ。私が顔を見せたりしたら、あの子は気づいてしまいます。」
ケイコ:「そうですね。でも、今逢っておかないと」
財前母:「構いません。養子にやった時から、もう諦めていたんやから。」
「自分が癌だと知ったら、あの子はどんなに苦しむことか。それを思うと…」(嗚咽)
「あたしは、あたしは我慢することになれているから。」(ケイコと共に嗚咽)
ケイコ:「お母様、帰りましょう。」(母を抱き抱えつつその場から立ち去る)

その日の夜、肝性昏睡が始まる。財前の命のともしびがいま終わろうとしている。
鵜飼:「財前君、しっかりするんだ。」
財前:「誰だ、あっちへ行け」恐ろしい形相で怒鳴る財前に、金井が「先生、(鵜飼)医学部長ですよ、鵜飼先生でいらっしゃいますよ。」と話しかける。
一瞬我に返った財前は「母さん!」といって涙を流す。そして間もなく絶命するのだった。
絶命後、病室に里見が財前の母を伴いやってくる。
息子の死に目に会えず、息子の床の横で亡骸を抱き泣き叫ぶ母。

鵜飼:「やっぱり癌だということを知らせてやるべきでしたね。」東に話しかける。
頷く東を遮るように。
里見:「彼は知っていました。」「しかし気づくのが遅すぎました。「つまらない事に気を取られずに、もっと早くに」「そうすれば優秀な外科医を死なせずに済んだ。」
姑は五郎の亡骸に詫びるが、周囲に言葉を荒げる里見も自身を責めるのだった。
里見への遺言で、母のことを花森ケイコに託すことや死を前に反省できたことに礼を述べ自身の検体を大河内教授に頼む五郎。

この作品、全31話と大変長い作品ですが、是非見ていただきたいドラマです。

by sumomojam39 | 2009-11-25 21:11 | テレビネタ