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ある時は司会者

今朝、ワイドショーで、クイズタイムショックの初代司会者、田宮二郎さんの紹介をしていました。

43歳の若さで、猟銃(散弾銃)自殺した彼のニュースは、当時、まだ中学生だった私たちの世代にも衝撃を与えました。
「白い巨塔」で、財前五郎を演じた彼が、ドラマの最終回放映の2話前で自殺というインパクトは、相当なものでした。このドラマは、キャスティングも豪華で、民放のテレビドラマでこれだけそうそうたるメンバーが登場したのを、他に知りません。

私は、当時受験生でしたので、その時間帯は塾通いのため、観ることがほとんどできませんでした。それでも、自殺されたのが、年末だったため、そのあとの回は観ることができました。
当時まだ幼く、しかも最終回までの2話しか観ていないこともあって、このドラマの本質を理解することができませんでした。

ある日、再放送を観る機会がありました。そこで、大学病院の教授選の凄まじさ、教授と助教授の格差、医局という存在、外科医と内科医の関係、養子、医療ミス、医療裁判の患者側からのミスを証明することの難しさなど、さまざまな問題がこの作品で、提起されていることに気がつきました。

その後、それなりのメンバーでリメイクされましたが、やはり、財前五郎は、田宮二郎に勝る方はおられません。
最近では、同作品が韓国でリメイクされていると訊きました。
山崎豊子さんの原作がしっかりしているので、大変意義のある作品だと思います。山崎豊子さんの作品は、どれも好きですが、映画化やドラマ化は、昔の作品の方がどれもすぐれている気がいたします。

田宮二郎さんの半生に興味をもちまして、検索しましたが、彼の半生は、躁鬱病との戦いで壮絶な最期を迎えますが、それだけでなく、実にドラマチックであると、改めて驚きました。

訃報を聞くな否や、山崎豊子さんが「猟銃でしょ」と、悟られた話。そう思わせたのは、彼が望んでいた華麗なる一族での主役、万俵鉄平の死に方そのもの(実際には、彼は不本意にも美馬中を演じていますが、「僕ならもっとうまく猟銃自殺をやれるのに」と話していたそうです)だったこと。
これ一つをとっても、柴田吾郎(本名)は、田宮二郎として人間財前五郎を演じ、さらにアクター田宮二郎も演じていたのか、とさえ思えてしまう逸話です。

気障にならないのは田宮二郎さんの凄さで、残念ながら木村拓也さんや唐沢寿明さんには、このオーラが見えないんですね。
怖いくらい研ぎ澄まされた演技が観たくて、私は白い巨塔がDVD-BOX化されるな否や、前後篇とも調達しました。

存在感のある天才的な役者、ナルシストで繊細。微妙なバランスで、そして緻密に役を演じることができた役者、田宮二郎は、永遠ですね。

by sumomojam39 | 2009-04-08 11:40