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真田太平記 前半

今回は、好きな時代劇の紹介をします。
「真田太平記」のDVD-BOXです。1985年4月から一年間放映された池波正太郎さんの書かれた原作に基づく作品なのですが、これほど忍びが出てきたドラマもない類稀なるドラマです。旧武田軍配下の忍びから独立した真田の草のもの、そして甲賀忍びとの対決。お江という真田の草のものを演じる遥くららさんが懐かしいです。作品は、武田家滅亡の直前から始まります。真田家の主は、真田安房守昌幸(幼名を源五郎、丹波哲郎さん)。彼には息子が二人おりました。長男の源三郎信幸(後の真田伊豆守信之、渡瀬恒彦さん)と次男の源二郎信繁(後の真田左衛門佐幸村、草刈正雄さん)です。真田家は、織田信長から豊臣秀吉、そして徳川家康と天下人が変わっていく中、生き残っていくために、時には家康と戦い、時には上杉と戦い、城を作った挙句、その時の天下人に奪われたりと、時代に翻弄されていきます。そして、二人の息子達はそれぞれ家康と豊臣に所縁のものと縁続きになります。そして真田は関ヶ原の戦の折に、分裂します。
BOXは前後半の2箱で全45話ありますが、いかんせん長いので、第15話「暗闘忍びの群れ」まで観ました。

しかし、ここまで観た中でも好きなシーンは、第13話「お江受難」に始まります。時は天正19年のことです。その頃、秀吉は朝鮮出兵に明け暮れていました。豊臣と徳川が実力伯仲していた中、甲賀の忍びは、それぞれについて働いておりました。しかし、秀吉が忍びに対して冷ややかな態度を示したその頃、その甲賀同志で情報を共有する時期を迎えます。この回は甲賀の陣中奥深くまで元甲賀衆の山中忍び馬杉市蔵の娘のお江(遥くららさん)と草のものの仲間の一人、姉山甚八とで追跡し、危機に直面する回です。追跡されたのは山中忍びの一派、豊臣秀吉についていた御伽衆の頭目、山中内匠長俊(戸浦六宏さん)、その行先は徳川方の忍びの棟梁、いとこでもある山中大和守俊房(佐藤慶さん)のもとへでした。

この回には、草のものを束ねる壺谷又五郎(夏八木勲さん)の悲しくそして厳しい草のものの宿命が、その孫、向井佐助の母親に語られています。「草のものとなれば、親をも忘れなければならないこともある。草のものに身分はない。お家の分限帳にも名は記されん。そればかりか常に死を隣に置いている。泥土に塗れて果てるかも知れん。凍てついた山の上で果てることもある。死んだということさえ知られずにな。それが草のものだ。」
それに対し、母親の思いは、生まれてからずっと父と生き別れている息子佐助を父の佐平次に会わせたいという思いだけでした。
父の向井佐平次が幸村の小姓で、幸村が上杉や豊臣に人質に出されていたためその供をしており、真田の庄にいる母子と父とは、ずっと離れ離れなのです。
ちなみに、壺谷又五郎が向井佐平次(木之元亮さん)の父、向井佐助の祖父ということは、この段階では誰も知りません。そして、又五郎のこの台詞は甲賀の領地に入って戻ってこないお江のことを思いながら吐かれています。

姉山甚八を仲間への情報伝達のため行かせたお江は、甲賀衆の執拗な追跡に大怪我を追います。続く第14話にて小さい頃のお江を知り、かつ父に恩のある田子庄左衛門(井川比佐志さん)に救出され、怪我の治療とリハビリを受けます。一度諦めかけていたお江に脱出しようという気力を持ち直させ、二人はそれまでのことを語り合います。二人の縁を知っていた甲賀の棟梁、山中大和守俊房は、お江の潜伏先を知りながら、今後の真田の動向を探るべく草のものの全容を掴もうと故意に二人をそのままにします。第15話にて庄左衛門はそんな甲賀の思惑を察知し、自身が事前にこしらえていた隠し穴などを利用して甲賀の追手を倒しながら、上田を目指すことを心身ともに回復したお江と決断します。決死の覚悟だった庄左衛門はお江のみを逃がし、同僚の甲賀との闘いの中、杉坂重五郎(丹波義隆さん)に討たれ絶命します。そして、お江も深手を負います。もはやこれまでと思った時、時を同じくして甲賀領地内に潜入した壺谷又五郎の救出に寄り、奇跡的に助けられます。又五郎は信州と名護屋城との行き来の中、甲賀領内近くを歩いていたとき、咲いていた白木蓮を観て、幸村が熱く語った「お江は生きている」という言葉を思い出し、偶然に甲賀領内に潜入するのでした。

他の忍びにはない真田家の人々と草のものとの主従を越えた関係、また本家と分家の兄弟が分裂しながらも互いを思いやり信じ続ける真田家兄弟の結束。これが池波作品の面白さでもあります。

このドラマでは豊臣秀吉役に長門裕之さん、徳川家康役に中村梅之助さんなどがキャスティングされていますが、ちょうどこのドラマの頃に、例の芸能界追放騒ぎになってしまった暴露本「洋子へ」が出された時期でした。このドラマの共演者の中にも、ここではあえて誰とは書きませんが記事の中の女性がいたように記憶しています。

by sumomojam39 | 2009-10-13 03:04 | テレビネタ