人気ブログランキング | 話題のタグを見る

財産整理

テレ朝で「亡国のイージス」を観ていたが、終わってからフジにチャンネルを変えると、「サキヨミ」で、任意売却をやっていた。
日テレでは「中井正広のブラックバラエティ」で、家電音痴の中居君が土田晃之さん(U-turn)や玉袋筋太郎さん(浅草キッド)に、解凍やレンジの使い方を先週から引き続き教わっている。

これも気になったが、任意売却という住宅ローンの返済に行き詰った人に対する制度のこの特集に興味を抱いた。
競売のデメリットや任意売却で残債を減らし、再起を図る考えは、理解できた。
しかし、銀行は本当にリスクを取らないのだなと呆れた。
外国では中古で住宅を取得する慣習があり、家は長持ちするものらしい。
日本の家屋も、メンテナンス次第で、長持ちするはずなのだが、そこまでお金が回らない家庭が多いのかもしれない。
これも、景気や核家族化の関係なのかもしれないが、二ヶ月くらい前にも、弟と話した話題がある。
それは、弟の同僚が、結婚していて、子供もいるらしいのですが、30年ローンとかで家を持つという話題だった。
弟が心配していたのは、返済の目途のことだった。
弟は、私より7歳年下の37歳だが、彼曰く、その同僚も30歳を超えており、この先、どう考えたら、ローンが組めるのかという話題だった。
私は、他人事でもあったが、おそらく奥さんも働いているだろうし、夫婦の親に財産があるので心配ないんじゃないのかと、答えた。
弟には、この先、将来の不安があると思うのに、家族をかかえ、親を含めた健康のことなどを考えると、不動産を所有することを考えるのは、難しいという結論だった。
弟は、現実主義ですし、別に悪気も、同僚に対する嫉妬心もないと思う。
単純に心配している。
私も、現実というものを考えるし、ことによると彼よりもシビアーな面もある。現に仕事を失っているし。

我が家は幸い、父が建築関係の仕事で、手に職を持っており、そのお陰で、父は自分の家を建て、すでに支払いも済ませている。
私は、父に同居させてもらっているし、住まいのことで心配は、いまのことろない。
むしろ、わがままなもので、一軒家なんて不動産に縛られることを、煩わしく思うこともある。

しかし、任意売却を考えなければならない人たちは、せっかく持つことができた家を夢半ばで失い、この先、住まいの心配をしていかなければならない。
しかも、売却できてもそれは全て建てた際のローンの返済に充当されてしまう。残るのは、住んでいない家のローンの返済という借金だけだ。
単純に賃貸住宅に引っ越しということだけでなく、過去の借金の返済という荷物を背負い続けるのだ。
今考えると、家を持つことができる力がなかった(足りなかった)のに、そこに人生の短期間住んでしまったことで、そのつけを背負ってしまったのは、短期間でも、夢の実現ができた対価と呼ばなければならないのかもしれない。
不幸な話だと思った。
終の棲家と考えていたのに、その棲家を追われた上に、それまでよりも重いリスクを背負い続けるのだ。

昼にフジテレビで、「漂流家族~竹下家の9年」という番組を偶然に観た。
この放送でも、北海道にマイホームを持った家族が埼玉に来て、父は運転手で、子供が娘ばかり6人の家族が紹介されていた。
番組では、北海道のマイホームのローンの返済に滞り、保証人が、連絡がつかないことから埼玉に訪ねてくるが、その亭主は彼のいうプライドから仕事をすでに二度転職しており、定職につけないうえ、娘も高校を辞めることになる。
すでに高校を卒業している娘も就職できずに、父に責められるが、番組の最期には、妻が娘を伴い北海道の保証人の元へ詫びに行くが、保証人は、たとえ一万でも払おうという姿勢が見せられないことから、家を断念すべきであると、その親子を説得する。
結果、家の表札を外し、アルバムなどを持ち帰るが、その妻も家族の元から蒸発する。

観ていて気持ちは良くなかったが、保証人の人が言う通りだという感想を持った。プライドの考え方をはき違えていると思った。
プライドは、計画性を持って、家族を養い、他人に迷惑をかけないようにすることで、無計画に家を建て、子供を作り、新人としての脇前もなく、会社を感情で辞めるなんて、ただの行き当たりばったりとしか思えなかった。
しかし、そうした家族というのは、みな同じような考えを持つらしく、保証人の方に対して、態度で示すことができない。

事情は人それぞれですが、家を持つのは、持てる力があるのか、もっと慎重に検討しなければ、悲劇は自身に降りかかるという結論に至った。

私たち兄弟には器量がなく、まだ人生の伴侶も子孫もないが、幸い、父が残した家という財産に住ませてもらい、少なくとも住む場所の心配はない。
そう考えた時に、残さなきゃいけないものって何だろうって、考えが湧いた。
趣味で買ったCDは、自分だけが楽しむもの。
この先、これで身を立てることはないだろう。
子供でもいれば譲ることもできるが、これはたぶん自己満足でしかない。
そう考えた時に、残すものを考えなければという考えに至った。

今の年齢から考えて、楽しんでも、あとの人生はこれまでの人生よりも短いと思う。だとしたら、この散財は、可能な限り自粛し、もっと有意義にしなければいけない。

もし、私が死んで、弟もいなくなった時、その時、父もいないだろう。
もし、私がこの家を出ることになった場合、持っていくべきものは何だろう。

こう考えていくと、持っていくべきものでないと考えられるものは、処分していく必要があるものなのだ。
処分にも種類があって、対価が得られるものもあるだろうし、逆に処分費がかさむものもあると思う。
それらを整理していくことも、私に課されたツケなのだと思った。

ちょっと哲学的かも知れないが、人生は引き算。
これまで、余計なものを蓄えてきた私は、この計算をちゃんとしていかなければいけないと、今夜、考えた。

by sumomojam39 | 2009-06-15 00:12